ナポリの考古学博物館での笠井叡

ナポリの考古学博物館の笠井叡

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闇に住み、一人血を吐く予言者  鈴木邦男

suzuki kunio
元々、身体がすべてだった。全てのことは、ここから発した。そうに違いない。喜びや哀しみや怒りも身体でもって表現された。だが、言葉や文字が発明されると、そこに保存され、記憶され、依存した。直接ぶつかり合う緊張感も生命感も落ちていった。だが、亡骸にすがりつく人間はいた。言葉や文章にまだ生命が宿っていると誤解・錯覚し空しい言論戦を展開したのだ。「そんなものは嘘だ!まやかしだ!」と喝破したが笠井だ。闇に住み、一人血を吐く予言者だ。革命家だ。言霊や文字を超えて表現する。絶叫するだ。そして今個人を超え、民族の生命に向かう。何と「古事記」に挑む。詩や文章だけでなく、歴史・神話に・生命を取り戻そうとする。これは、或いは恐ろしいことかもしれない。軽薄な言語や文章、思想に依拠して戦ってきた我々の足元をすくい、我々の存在すべてを否定するかもしれない。しかしそれでもいい。笠井に期待したい。この世の人々とその共同体としての民族に光をあて、生命を取り戻そうとするのは、笠井しかいない。そう思うからである。

「金鱗の鰓を取り置く術」推薦文

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