ライラック

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1239B2CC-EC74-4CBD-BF15-5E5FA811C7EA今から38年前、家族でドイツに移住したのは、日本では初夏の風が吹き始めた四月中旬。コーリアエアラインの南回り三十時間、やっと目的地の シュトゥットガルトに着いた時は、夜もとっぷり更けた真夜中だった。次の日、家族みんなで迎えたドイツの朝 のなんと清々しかったことか!整然と立ち並んだ大きな家の庭は、どこも色とりどりの春の草花が咲き揃い、家を囲む針葉樹の間から薄紫、ピンク、白のライラックの花が美しいグラデーションを見せてくれる。子どもたちは、長旅の疲れも忘れて、ワイワイと外に飛び出した。

オオ寒い!ひかりは春の明るさなのに、空気は冬の冷たさだ。そして、3日目の朝、私たちの住むリーデンベルク一帯は、真っ白な雪で覆われていた。すると、近所に住むドイツ人パゾットさんの一人息子のロベルト君が、日本人家族がやってきたと知り、直ぐに我が家に訪れ「雪でフリーダー(ライラック)が全部折れてしまった。これからリアカーに積んで売りに行くけど、一緒手伝ってくれない?」と、子どもたちを誘いに来た。さすがドイツ人!びっくりもしたが、その意志の強さと優しさに共鳴したのか、チカシは言葉が全くわからないまま喜んでロベルト君について行ってしまった。

帰宅したチカシに聞くと、二人して大声で「フリーダーはいらんかねぇ〜、フリーダーはいらんかね〜」と叫びながら町中回ったけど、一本も売れなかった。でも楽しかったよ。と寒さで真っ赤になった顔をほころばせたのを見て、よし、これで異国の地ドイツでみんなで暮らしていけるぞ、と私の心も決まった。

今年の冬、庭にライラックの苗を植えた。栄養不足で貧しい我が家の庭に、これまで何度も試したけど、可哀想にいつも枯らしてしまっていたのに、どうしたことか四月になって急に暖かさが続いてきたら、なんと、しっかりした新芽が生まれてきたではないか!これからは、遅ればせながら、世話を怠らないようにしなくては・・・・

果たして、何色の花が咲いてくれるのだろうか?

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