命の線引き

昨日は雪。今日は冷たい花曇り。ニュースで、志村けんさんがコロナで亡くなったのを知った。70歳! 私より6歳もお若いのに。
イタリアでは医療崩壊で、高齢の感染者には治療を施せないそうだ。もし私がコロナウイルスに感染したら………もともと、免疫抑制剤を常用し、その上、気道が狭く、呼吸が浅い、リウマチ持ちの私なので、これから先のある若い人々に治療ベッドを譲るのになんの躊躇いもないのだが、突然、外側から、いのちの線引きをされるとは思ってもみなかったこと。志村けんさんも、これからやりたいこと、やるべきことの計画を心の中にいっぱいお持ちだったことでしょうに。

あれこれ思い悩んでも致し方ない。心の中までコロナにやられないように。

心の中に
たくさん コトバの種を 植えよう。
美しい色 芳しい香り 透明な響き
壊れていくカラダを 恐れるな!

心の中のコトバたち 
光と熱になって
やがて 壊れたカラダは
青空の中に 溶けて流れていく。

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目に見えない新型コロナウイルスの中で………。

ローマのマリアピアはどうしているだろう? フランスのエマニュルは? フライブルクのバーバラは? ニューヨークのヒメナとシゲは? シオヤサン、ミヤイサン………? みんなみんなどうしているだろう?
命の数が毎日毎日減っていく、地球上のあらゆるところで。
年老いた人も若い人も富んだ人も貧しい人も健康な人も病気の人もどこの国の人もどんな職業の人も、みんな同じ不安を呼吸して、剥き出しのいのちを生きている。
みんなどうしているかな?

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お祈りの言葉

空気が冷たい。洗濯干し場のコンクリの上のあちこちに、桜の花びら。今日の太陽はよそよそしい。
昼食。五目ずし。青梗菜、ワカメ、とうふのスープ。かぶ、ミニトマト、きうり、サニーレタスのサラダ、胡麻ドレッシング。いたってシンプルな食事。メルボルンの公演を終えて帰国した川口隆夫さんが、来週横浜のKAATでの公演「DUOの會」の稽古に訪れる。朝からニュースは新型コロナウイルスのことばかり。わたしの友たちはどうしているだろうか。
何か根拠を探ったり、解釈したり、説明したり、いいわけしたり……せず、永遠の一瞬一瞬を、静かに丁寧に受け止めて………そして、祈りの言葉を唱える。

 「われらを試みに合わせず 悪より救いいだしたまえ」
ではなくて
 「われらを試みに合わせてください そして 悪を認識する目をお守りください」と。

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春の夢

穏やかな春の日。昼食。アキラと二人。鮭、じゃがいも、人参、玉葱、大根、ブロッコリー、ウインナーのスープ。レンコンの金平。たくわん。ご飯。静かな時間。じっと動かない。秘めやかな空気。暖かな春のひかりに見え隠れする灰色。おずおずと外側を覗く気配。見えないコロナウイルス。不安と諦めと焦燥と。醒めた意識。心に差し込む光。記憶から。アイヒェンハイムの小径。緑の風。青空の白い雲。尖塔の見える遠い風景。雲雀の囀り。樹々のざわめき。老夫婦の散歩、犬を連れて。乳母車を押す若い母親。木陰で読書する若者。ブーメランに興じる子どもたち。笑い声。黄色、白、ムラサキ色の小花たち。透明な静かな時間。温かい息吹きに満たされる。

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3月の雪

昨日は春爛漫の陽気で、今日は冷たい雨の冬日。キッチンのテーブルに座って、庭を眺めていたら、白いものが、あっ雪! 
2、3日前に、我が家の桜も開花し、さっそく鳥たちが花を啄みに飛んできていたのに。
新型コロナウイルスのニュースの毎日で、いつのまにか桃の節句も過ぎてしまい……。
雨の中で真っ赤なボケの花が咲き誇っている。昨年10月102歳で亡くなった義母君子さんが生前植えたボケの木。真っ黄色のラッパ水仙、クロッカス、ムスカリ…何の世話もしてあげないのに、狭い庭の大地から伸びてきて、雨に打たれている。
気が滅入る時は、読書に限る。明日は晴れるかな?
 
芸術とは呪文であり魔術であるーこれが芸術の体験のいちばん始めの形であったに違いない。  ースーザン・ソンタグー

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桃の節句ー二人の私

今日は3月3日お雛さまの日。今から52年前、私はアキラと結婚し、以来今日のこの日まで、よくぞ一緒に生活してこられたことか!と、思ったとたん、頭の中で52年前の3月3日に時間がワープした。そして、24歳と23歳の、まだまだ世間知らずの若い私たちの結婚式を温かく見守ってくださった、大野一雄ご夫妻、土方巽氏、澁澤龍彦氏、矢川澄子氏、吉岡実氏、加藤郁乎氏、森谷均氏、常住郷太郎氏、高井富子氏………と久しぶりに邂逅し、ひとしきり楽しくお話した。
その日も今日と同じように、ほんのりと冷たい空気の中に、春の陽光が溢れて……

一瞬にして、52年後の今日に戻ると、新型コロナウィルスの不穏なニュースばかり。免疫力のない私にとっては、危ないなぁ!
街の花屋さんにピンクや黄色や白など甘い香りの花々がいいち早く並ぶ嬉しい時なのに。

今では、大野先生ご夫妻も土方さん、澁澤さん、澄子さん………誰も見えないけど、私のカラダのなかには、彼らの温もりが確かにある。その温もりに包まれて、23歳と75歳の2人の私が同居している。。

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笠井久子ブログ

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